こんにちは。税理士のもっちゃんこと、元山です。
さて今回は、会計事務所がソフトを指定したがる理由について解説していきます。
かくいう私も今まで、自分の事務所が使用している会計ソフトをお客様に勧めてきたのですが、ふと『これって本当にお客様のためになっているのか?』と疑問になりました。
今回はその理由とともに解説していきます。
なぜ、会計事務所は会計ソフトを指定してくるのか?
さて、まずはなぜ会計事務所が会計ソフトを指定してくるか、その理由を解説します。
上図の会計事務所の中には、同一メーカーの会計システムと税務申告システムが存在します。
同一メーカーですから、もちろんデータはシームレスに連携します。
会計システムに入力された情報はダイレクトに税務申告システムに流れていき、税務署へデータが提出されます。
ではここで、会計システムだけ別のメーカーのモノを使われると何が起きるのでしょうか?
実は、会計システムと税務申告システムのデータ連携が取れなくなります。
するとどうなるかというと、会計システムの最終値を手入力で税務申告システムにインプットすることになります。
これは非常にリスクのある行為です。
手入力は人的ミスを生む可能性があります。また、入力工数もばかにできません。また、税務申告は絶対に間違えてはいけないものです。
だから、会計事務所としては税務申告システムと同一メーカーの会計ソフトを勧めざるを得ない状況にあります。
API連携ができる時代に、手入力に価値があるのか?
さて、会計業界の現場では未だにお客様から紙の資料を預かって、職員が手入力するという姿が散見されます。
ベテランの職員程、入力が早く正確です。
ですが、freeeやMFクラウドのように、直接預金やクレジットからデータを取得して、AIが自動予測で仕訳を作成してくれる今の時代において、果たして手入力に価値があるのかは疑問が残るところです。
現金のレシートも、スマホで写真を取れば仕訳にしてくれます。
ちなみに、当事務所では新規のお客様にはすべてfreeeを利用して頂き、預金とクレジットの明細の仕訳作成は自動化していく予定です。
これによって、お客様はいちいち預金通帳やクレジットの明細のコピーを税理士事務所に預けたり、提出する手間が無くなります。
ただ、当事務所で使用している税務申告システムは、freeeやMFクラウドとは異なるものです。
では、先ほどの会計システムと税務システムの連携の問題をどう解決するのか?という問題が残ります。
ここは、freee側が各会計ソフトメーカーの仕訳テンプレートに合わせたデータ出力機能があるため、決算確定後の仕訳をすべてcsvで税務申告システムに取り込みます。
これによって、会計から税務への人的入力による転記ミスや無駄な入力工数を0にしています。
なお、freeeにはfreeeエキスパートと呼ばれる制度があり、来月から私もその登録準備を進める予定です。
OCRの機能を向上させることに意味があるか
会計ソフトメーカーによっては、預金等のAPIデータ連携は視野に入れず、あくまで紙をベースとしたOCR読み取り機能の開発に力を入れているベンダーもあります。
ただ、OCRはどこまで精度を高めたところで、100%正確な読み取りは不可能です。
それこそ、印字の薄さや、ちょとっしたメモがあっただけで誤認識を起こします。
レシートなど、そもそもデータで取得できない物をOCRで拾っていくのはわかりますが、
銀行側がAPIの口を開放して、データが取得できる状況にあるのに、なぜそれを使うような開発を行わないのかは甚だ疑問です。
まとめ
今回改めて思ったのは、『会計事務所の都合で、お客様のIT化、事業の効率化を阻害することだけは絶対にしてはいけないな』ということです。
会計事務所が企業の効率化の足を引っ張る存在であってはいけないと、強く思います。
なお、私自身はITに精通した税理士というポジションを外的にも担保するため、ITコーディネータの資格を取得することにしました。
7月、8月と資格認定ケース研修を受講して、また新たに学びなおすことで、クライアントの業務効率化に貢献したいと思います。
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