インボイス登録をやめたい場合に必要な手続きとは?

こんにちは。栃木県真岡市の税理士、元山良です。

さて、ついに令和5年10月1日から始まったインボイス制度。

これを機会にインボイス登録番号を取得された方も多いかと思います。

ですが、実際に3月の確定申告時期になって、『意外と消費税の納税負担が多いな。。。』という理由や、『正直インボイス番号が無くても取引先との条件に変更がなさそう』ということでインボイス登録をやめたいと思われる方も一定数おられるかと思います。

本日は様々な事情でインボイス登録をやめて、消費税を納税しないようにしたい、という方のためにインボイス登録の取消の手続きを具体的にお話していきます。※課税期間は個人事業主を前提としてお話しします。

そもそもインボイス登録はやめることができるのか

インボイス登録をやめることはできます。国税庁のサイトによると、正式手続きの名前は『適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書』といいます。ちょっと長いので、以降はインボイス登録取消届出書とします。

参考:国税庁資料 『インボイス制度において注意すべき事例

インボイス登録の取下げと取消しの違いとは?

インターネットやYou Tubeでは、インボイス登録の取り下げと取消しについての情報が出ていますが、取り下げは令和5年9月30日までにしか提出できない手続なので、現在となっては取消しのみご理解頂ければよいかと思います。

インボイス登録の取消しに必要な書類とは

インボイス登録の取消しを求めるために税務署に提出する書面のことを、『適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書』と言います。

インボイス登録取消届出書の書き方とは

インボイス登録取消届出書に記載する事項は以下の通りです。

  1. 納税地
  2. 氏名又は名称及び代表者氏名
  3. 法人番号(個人不要)
  4. 登録番号
  5. 登録の効力を失う日(提出した事業年度の次の事業年度の最初の日)
  6. 適格請求書発行事業者の登録を受けた日

インボイス取り消し書の提出期限と効力の発生時期は?

取り消したい事業年度の始まりの日から数えて、15日前の日までの提出が必要です。

ですので、例えば令和6年の事業年度からインボイス登録事業者をやめて消費税を納める義務を負いたくない、という場合には令和6年1月1日から数えて15日前の日、つまりは令和6年1月1日をあたかも令和5年12月32日としてそこからマイナス15日となるので、32マイナス15で17日。ということで12月17日までに提出しなければなりません。

なお、令和5年12月17日までに取消し届を出せば、令和6年から消費税の納税義務を負わずに済みます(令和5年10、11、12月の3か月分の納税は必要)。

もし仮に15日前の日を過ぎてからの提出となった場合、先ほどの例で言うと12月18日以降に提出した場合には、令和6年はインボイス事業者のままで納税義務があります。そして、令和7年からインボイス登録のない事業者に戻ることになります。

インボイス登録取消届出書の注意点とは?

令和6年1月1日がインボイス登録日の場合には、令和6年12月17日までに取消届を出したとしても、令和7年いっぱいまではインボイスを発行できない消費税の課税事業者として、消費税を納める義務が生じます。

※理由:『登録日から2年を経過する日の属する課税期間の末日までは、基準期間の課税売上高にかかわらず、納税義務が免除されない』令和6年1月1日がインボイス登録日の場合には、令和7年12月31日が2年を経過する日となり、その課税期間の末日は同日12月31日であるため。

さらにややこしいのが、令和6年1月2日以降にインボイス登録をしてインボイス登録事業者になった場合、この方がインボイス登録取消届出書を提出した場合には令和8年まではインボイスを発行できない消費税の課税事業者になります。

具体的には例えば令和6年2月1日にインボイス登録を初めてしたとしましょう。そしてこの方が同年令和6年12月1日にインボイス登録取消届出書を提出した場合には、令和8年まではインボイス登録事業者ではないものの、消費税の課税事業者のままです。ですので、消費税を令和8年分までは納めなければなりません。

まとめ

さて、インボイス登録をやめる取消しの手続き、もし決断するなら令和5年中に決断をして、早めに提出することをお勧めします。なぜなら、令和6年に入ってから取り下げても、2~3年は強制的に消費税を納めなければならなくなるので、ご注意いただければと思います。

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インボイス制度
栃木県真岡市 税理士 元山りょうブログ

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