法人になることのメリット
法人成りを検討する際は、やはり一番は節税対策が理由となります。しかし、その他にも法人化のメリットは数多くあります。ここではそのいくつかを紹介します。
社会的信頼性の確保
会社の方が信頼性がある、という話はあなたも聞いたことがあるかもしれません。
では、なぜ会社の方が、個人事業主より信用があるのでしょうか?私は、以下の理由があるからだと考えています。
- 登記をしているから。いわば、国の機関である法務局がその法人格にお墨付きを与えている。
- 登記をしているから、だれでもその会社の資本金や役員などを知ることができる。つまり、情報開示が行われている。
- 資本金が組み入れられているということは、会社という存在にお金の裏付けがある。個人事業主は、個人資産の状況がわからないのでお金の裏付けが弱い。(万が一の支払いなど)
これらのことにより、借り入れがしやすかったり、大企業と契約ができるなどの効果が得られやすいとされています。
累進税率が適用されない
所得税は、儲けが増えるほど税率が高くなる累進課税を採用しています。その最高税率は45%で、住民税と合わせると55%となります。(ただし、控除額あり)
これに対して、法人税では儲けが800万円までは15%、800万円超の部分は23.2%の税率となっています。(ただし、控除額なし)
役員報酬を経費計上できる
個人事業の場合は、自分に対する給料は費用にできませんが、会社の場合は役員である社長に対する給料は費用にでき、その分、会社の儲けを減らすことができます。
節税の選択肢が所得税より多い
個人事業では、経費の範囲が「事業に関係のある経費」に限られており、個人の生活費との線引きが難しいという側面があります。
しかし、会社の場合はそのすべての支出が事業として必要な経費とされるので、経費の範囲が広がります。(もちろん、まったく事業に関係のない経費は、税務調査で認められない可能性がありますが)
また、以下のような節税策もあります。
- 役員の住居を会社で借りて社宅にする
- 会社で役員の生命保険に加入する
- 出張交通費だけではなく、出張手当も経費にできる
- 所得拡大促進税制を利用した税額控除(税金を減らせる)が使える
会社設立のデメリット
物事はメリットがあれば、必ずその反面であるデメリットも存在します。ここでは会社を設立することのデメリットを確認しておきましょう。
手続きに時間とお金がかかる
まず会社設立には費用がかかります。総額25万円~30万円は想定しておいた方がいいでしょう。また会社設立の期間は、半年~1年は想定した方がよいでしょう。
税金の申告を自分で行うことは困難
所得税の確定申告は、現在ではスマホ申告、eTaxの利用率向上もあり、個人の方でも比較的簡単に申告ができるようになってきました。
これに対して、法人税の申告は別表という書類を作成しなければなりません。別表の役割は、会計上の処理の中で、税法上認めることができない費用を否認したりするのですが、この別表を自社で作成することは非常に困難です。
なぜなら、専門の会計ソフトを保有していなかったり、別表作成に関する詳しい知識を持ったスタッフがいなかったりするからです。
その点、会計事務所は年中、会社の決算を代行しているので、知識は豊富ですし、専用の会計ソフトも完備しています。
なので、会社で納税申告をする場合は、ほとんどの場合、会計事務所にお願いすることになります。
おわりに
本当に法人成りをした方が節税になるのか、または節税以外のポイントから、
会社にすべきかどうかはトータルに判断すべき事項と言えます。ぜひ、専門家の助言を元に法人成りを検討してみてください。