4.会社設立と消費税

消費税を払う場合とは

消費税は、会社設立3年目から必ず支払わなければならないわけではありません。

第3期目の事業年度に消費税を支払わなければならないかどうかは、会社設立初年度の売上が1000万円を超えているかどうかで判断します(※1)。

ただ、節税のために会社を設立した場合はほとんどの場合、売上が1000万円を超えていることが多いので、3年目からはほぼ消費税を納めるものとして考えてよいでしょう。

設立2年以内に消費税を支払う場合とは

それでは、実務上、出現頻度が高い以下の2パターンを見ていきましょう。

資本金が1000万円を超えている場合

会社設立時点で資本金が1000万円を超えている場合は、1年目から消費税を納めなければなりません。

また、会社設立時点では資本金が1000万円以下(例えば500万円)だとしても、1年目のどこかの時点で資本金を増やして1000万円を超えた場合は、2年目から消費税を納めなければなりません。(※2)

会社設立後半年の売り上げ、または支払った給与額が1000万円を超えている場合

会社を設立して、最初の6ヶ月間の売上の合計が1000万円を超えている場合で、さらに従業員に支払った給料の額も1000円を超えている場合は、会社設立初年度から消費税を納めなければなりません。(※3)

初年度に消費税の還付を受けたい場合

ここまでは、どんな場合に会社設立後2年間消費税を納めなくて済むかという話でしたが、

とある場合には自ら消費税の納税義務者になることがあります。それが、初年度から消費税の還付を受ける場合です。

そもそも、消費税は売上げ時に預かった仮受消費税から、仕入れや販管費支払い時に支払った仮払消費税を差し引いた差額を納税する仕組みです。

しかし例えば、輸出業者などは輸出売上に消費税がかかりません(免税売上)。つまり預かった消費税はなくて、支払った消費税だけが存在するので、その支払った分を還付で返してもらうことができます。

その他、初年度に大きな固定資産を購入した場合などは仮受消費税より仮払消費税の方が多くなることがあり、消費税の還付を受けることができます。

ただし、消費税の還付を受けるためには、消費税の課税事業者になっている必要があります。よって「消費税課税事業者選択届出書」という書面を事前に税務署に提出しておかなければなりません。

また、消費税の納税額を簡単に計算できる簡易課税制度という制度がありますが、この制度を選択していると、消費税の還付を受けることができませんので十分に注意してください。

おわりに

消費税は会社が赤字の場合でも支払わなければなりません。その負担感はとても大きいと現場では感じます。ですので、意図せず消費税の課税事業者にならないよう、税理士などの専門家の助言を仰ぎながら対策をとるようにしていただければと思います。

(※1)課税売上高のこと。輸出売上げは含み、非課税売上げは除く。税抜きで計算する。

(※2)特定新規設立法人の納税義務の免除の特例。消費税法

(※3)特定期間における課税売上高の納税義務の免除の特例。消費税法

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