さて今日は会社の定款作成について見ていきましょう。
定款とは、会社の決まり事をまとめた規則集のようなものです。株式会社の定款は公証役場で認証を受けることで、法的な効力を持ちます。
なお、公証役場とは法務局や地方法務局が管轄する区域内に設けられており、公証人が実務を行う場所のことをいいます。
会社の設立登記を行う際には認証を受けた定款を添付する必要があります。以下では定款に必要な3つの記載事項を確認していきましょう。
①絶対的記載事項とは
絶対的記載事項とは、定款に必ず記載されていなくてはならない事項です。これらのいずれかが欠けていると、公証役場での認証が得られず、定款が無効になってしまいます。
1.目的
会社が行う事業の目的を記載します。
2.商号
登記する会社の正式な名称を記載します。
3.本店所在地
最小行政単位までの記載を行います。例)○○市、○○区など
4.設立時に出資される財産の価額またはその最低額
原則として資本金にあてる額を記載します。定款では、○○万円以上、などと最低額を記載する方法でも可能です。
5.発起人の氏名または名称・住所
住所は印鑑証明書の記載に合わせて正確に記載します。
※発行可能株式数
どれだけの株式を発行できるかを記載します。増資する場合には、記載の範囲内で行います。
②相対的記載事項とは
相対的記載事項とは、絶対的記載事項を補う形で記載します。定款に記載することで、法的な効力が認められます。
1.株式の譲渡制限
株式の譲渡制限や譲渡時の承認について定めます。中小企業は、会社が第三者に乗っ取られないように、多くがこの規定を設けています。
2.現物出資
現物出資する財産と、その価額、出資したものの氏名などを記載します。なお、現物出資とは、金銭に替えて自動車や不動産、有価証券、機械、パソコンなどの「物」を出資することをいいます。計上金額は、出資時の時価になります。
3.財産引受
発起人が設立途中の会社に対して、将来的に財産を譲り渡す約束をすることです。
4.発起人の報酬
発起人が会社の設立にあたって行った労務に対する報酬について定めます。
③任意的記載事項とは
任意的記載事項とは、会社法の規定や公序良俗に反しない限り自由に規定できる事項をいいます。
1.定時株主総会の招集時期
定時株主総会は決算から2か月以内に開く必要があり、その時期を記載します。
2.取締役などの役員の数
取締役会を設置している場合には、3人以上の取締役と監査役1人について記載します。
取締役会を設置していない場合には、1名以上の取締役について記載します。この場合、氏名は記載の必要がありません。
3.事業年度
会社の事業年度がいつからいつまでかを記載します。基本的には任意の日付から1年間が事業年度となります。まれに1年未満の場合もあります。