さて、養子縁組は民法で定められており、その人数に制限はありません。
しかし、相続税の計算でこれを認めてしまうと、法定相続人が際限なく増えることにより基礎控除を意図的に上げて節税することが可能です。
以前の日本ではそのような状況でした。しかし、これをさせないために税法の改正が行われ、相続税の計算においては養子の数に制限を設けることになりました。
節税になる理由
相続税の基礎控除額は3000万円+法定相続人の数×600万円です。ということは、養子を増やして法定相続人を増やせば、いくらでも相続税の節税ができてしまいます。
養子の数の制限
相続税法上、養子の数は実子がいる場合といない場合でわかれます。
実子がいる場合
養子の数は1人まで認められます。
実子がいない場合
養子の数は2人まで認められます。
養子が実子扱いになるケース
被相続人の特別養子である場合
養子には特別養子と普通養子の2種類があります。
特別養子の場合には実父母との親子関係が戸籍上なくなり、実父母の財産を相続する権利も無くなります。
また、特別養子縁組は養子の年齢が15歳未満で結ぶことが条件となります。
一方、普通養子は実父母との親子関係が継続します。そのため、普通養子の場合には実父母の相続権がある一方で、養父母の相続に関しては、法定相続人の養子制限の中に含まれます。
被相続人が配偶者の連れ子を養子にする場合
配偶者の連れ子がいた場合に、その連れ子を養子にすると、その連れ子は実子と同じ扱いになりますので、養子人数制限の対象とはなりません。
実子または養子の代襲相続権がある場合
実子や養子のこども(被相続人の孫)の場合には、実子でも普通養子でも、いずれも被相続人の実子と同じ扱いになります。このため、相続税の2割加算の対象にはなりません。
相続税の2割加算とは
相続税の2割加算とは、配偶者や一親等の血族以外の人が相続人となるときは、その人は相続税が20%割増しされるという制度です。
一親等の血族とは、故人と血のつながりのある子どもと親のことです。孫は2親等となるので、遺言書や養子縁組により孫が相続財産を相続する場合には2割加算の対象となります。
しかし、孫の親が亡くなっており、孫が代襲相続人となる場合には孫は一親等の血族扱いになり、2割加算の対象とはなりません。