それでは今回は、相続税の支払いについて見ていきましょう。
相続税の支払いは、納期限までに現金一括納付が原則となっています。
しかし、どうしても現金で支払いができない場合には、延納や物納という特例があります。
今回はその特例を解説していきます。
延納とは
延納とは相続税の分割払いのことです。最長20年の延納が可能ですが、必要な条件があります。
また、全額が延納できるわけではなく、納付が困難な金額を上限とします。さらに、利子税もかかることになります。
延納の4条件
延納を行うには次の4つの条件を満たしている必要があります。
- 相続税額が10万円を超えること
- 金銭で納付することが困難な事由があり、かつ納付困難な金額の範囲内であること
- 延納税額および利子税の額に相当する担保を提供すること
- 延納申請書および担保提供関係書類を期限までに提供すること
物納とは
物納とは、延納しても現金を納付できないときに物で納める制度です。ただし、物納できるものは限られており、優先順位も決まっています。そのため、上位のものを持っていながら、下位のものを物納することはできません。なお、物納を実際に行うケースはほとんどありません。
物納の優先順位
- 不動産、船舶、国債証券、地方債証券、上場株式等
- 非上場株式等
- 動産(不動産以外の家財、宝石、貴金属、書画、骨董など)
不動産の売却
納税額が用意できない場合には、不動産を売却することも検討しましょう。
不動産を売却することのメリットは、取得費加算の特例が利用可能で、所得税や住民税を減税することができる点です。
逆にデメリットは、不動産を売却して利益が出た場合に、所得税や住民税など最低でも20%以上の税金が発生します。
また、相続開始を知った日の翌日から10か月以内に売却して納税をしなければなりません。
取得費加算の特例とは
取得費加算の特例とは、相続の開始から3年10か月以内に相続財産を売却した場合に、売却した資産にかかる相続税を譲渡益から控除することができる制度です。結果的に節税になります。
ただし、相続税の申告手続きをしていないと取得費加算の特例を受けることができないので、相続税の税額が0円であっても、3年10か月以内に相続財産を売却する予定であれば、相続税の申告を行いましょう。