さて、今回は故人の財産に株や投資信託があった場合にはどうしたらいいかをお話ししていきます。
株や投資信託などの金融資産は目に見えないものなので、故人が保有していても、遺族が見つけられない可能性もあります。
そうなってしまうと、財産の申告漏れにつながってしまいますので、以下のポイントを参考に、把握もれの無いようにしていただければと思います。
株や投資信託の見つけ方
口座開設書類を探す
株取引をしている場合には、証券会社や金融機関を利用していますので、口座開設時の控えの書類があるはずです。
四半期報告書を確認する
四半期ごとに書類が交付される「四半期報告書」を確認してください。交付時期は証券会社により異なります。
通帳を確認する
通帳の履歴を見ると、配当金が振り込まれている場合があるので、手掛かりにします。
メールを確認する
証券会社からのメールをチェックすることで、証券口座の存在を把握することができます。
株式の財産評価額
さて、故人が株式を所有していたとして、いったいいくらの金額を相続財産として計上すればよいのでしょうか。まずは相続人は証券会社等に、死亡日の残高証明書を請求します。
上場株式の場合
上場株式の場合には、次の4つの方法により計算した金額のうち、最も低い金額を評価額として使うことができますので、計算の手間を省かないようにしましょう。
①死亡日の最終価格
②死亡月の最終価格の平均値
③死亡前月の最終価格の平均値
④死亡前々月の最終価格の平均額
投資信託の場合
故人の死亡日に解約請求や、買い取り請求を行ったとした場合に、支払いを受けることができる金額が相続税評価額となります。
名義変更について
株や投資信託を相続した場合には、名義変更手続きが必要になりますが、遺言書のあるなしで手続きが変わってきます。
遺言書がある場合
株や投資信託を相続する人が決まっているか、遺言執行者の選任があるかを確認します。
遺言書が無い場合
相続人間で遺産分割協議書を作成して、株を引き継ぐ人を決定します。
売却して現金化する場合
仮に現金化して、相続人で分けることにするなら、代表者相続人口座をつくって名義変更してから売却、現金化します。
相続人の誰かが引き継ぐ場合
次に、証券会社に株の引継ぎ、つまり名義変更にともなう書類を提出します。
最後に、相続人は窓口の証券会社や信託銀行に口座を開設して、名義変更します。
株式評価の難しさ
株式の難しいところは、価格が日々変動しているということです。例えば、仮に故人の死亡日に100万円の価値があったものが、半年後に遺産分割協議を行う際に、2倍になっていたり、あるいは半分になっていたりする場合もあります。
この場合に株式を相続する人が得したり、損したりする場合があるので、相続人間での話し合いが必要になります。