さて、登記が完了したら各役所に税金に関する届出等を行います。ここでは、代表的な各種届出について、その届け出先、届け出の条件、届け出の期限を説明していきます。
会社の税金に関する代表的な届け出一覧
法人設立届出書
・届出先:税務署/都道府県/市区町村
・届出の条件:会社を設立したら届出
・期限:会社の設立後、15日~2か月以内
※会社の設立を各役所に知らせるための必須の手続きです。所定の届出用紙に定款のコピーなどを添付し、本店所在地を管轄する税務署に提出します。
給与支払事務所等の開設届出書
・届出先:税務署
・届出の条件:会社を設立し、給与を支払うこととなった(給与支払事務所という)場合
・期限:給与を支払うこととなった後、1か月以内
※給与には、会社の社長への役員報酬も含まれますので、ひとり社長でも提出が必要になります。
なお、給与支払事務所だった個人事業主が、法人成りする場合は、いったん個人事業としての給与支払事務所を廃業する手続きが必要です。これは個人事業と法人が別人格とされるためです。
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
・届出先:税務署
・届出の条件:源泉所得税の納付を半年に1回にしたい場合
・期限:随時
※源泉所得税の納期は、基本的には給与を支払った月(源泉徴収した日)の翌月10日となるので、毎月納付が原則です。
しかし、給与の支給人数が常時10人未満の場合はこの特例を受けて、納付を7月と1月の年2回にすることができます。これにより、事務負担の軽減につながります。
青色申告の承認申請書
・届出先:税務署
・届出の条件:青色申告の特例を受けたい場合
・期限:会社の設立後、3か月以内
※青色申告にすることで、様々な税制のメリットを受けることができます。例えば、赤字になった場合にその赤字を翌期以降10年間繰り越せる欠損金の繰越控除。
その他、過去に支払った法人税を赤字が出たら取り戻せる、法人税の繰り戻し還付。計算式は次の通りとなります。
還付金額=法人税額(前年度)×{欠損金額(今年度)÷ 所得金額(前年度)}
また、中小企業者が30万円未満の固定資産を購入したときに、一括で経費にできる特例もあります。
消費税課税事業者選択届出書
・届出先:税務署
・届出の条件:消費税の課税事業者になりたい場合
・期限:事業年度の開始の日の前日まで(設立1期目は事業年度の末日まで)
※会社設立後2年間は、消費税がかからない(免税事業者)なのに、わざわざ消費税を支払う義務のある、課税事業者になるの?と思われるかもしれません。
しかし、初年度に大きな固定資産を購入して消費税の還付が見込める場合や、輸出事業がメインのため、課税売上が0%になる場合には消費税の還付が受けられるため、課税事業者を選択する場合があります。
消費税簡易課税制度選択届出書
・届出先:税務署
・届出の条件:2年前の課税売上高が5000万円以下の場合に、消費税の計算を簡易課税にしたい場合
・期限:事業年度の開始の日の前日まで(設立1期目は事業年度の末日まで)
※簡易課税とは、売上高(課税売上高)のみを使用して、業種ごとのみなし仕入れ率を用いて消費税の納税額を計算する方法です。
預かった消費税(仮受消費税)から支払った消費税(仮払消費税)を差し引く計算方法よりも、簡単に納税する消費税を計算することができます。
ただし、納税額が有利になるかどうかは、ケースバイケースとなります。
なお、簡易課税を適用している場合には、消費税の還付を受けることができないので注意してください。